はくざん 通信   第29号 2003.7.7    ホーム  はくざん通信の目次に戻る 


神経根造影
 ●神経根とは?
 ●神経根造影と神経根ブロック
 ●神経根造影・ブロックの実施法


神経根造影(radiculography)

 ●神経根とは?

 神経根とは、脊髄から枝分かれして出て、腰椎の場合では、腰部、臀部から下肢に行く神経の一番根もとのあたりをいいます。神経の束が脊髄の硬膜( 脊髄の入っているいわばチューブ)を通り抜けて出て、椎体のすぐ後から側方へかけて走行している部分のことです。
 神経の圧迫は、脊髄から筋肉や末梢の知覚神経センサーまでのどの部位でも起こりえるのですが、周囲に硬い組織のある脊椎骨の所に集中してみられます。
    神経根
腰の神経は左右に5〜6対あります。これを神経根といいます(腰の骨の模型:前方から見た図)。


 ●神経根造影と神経根ブロック

 神経根造影は、神経根の圧迫の有無や圧迫の部位を確認する検査です。
 神経根の様子を造影剤で浮かび上がらせてレントゲンで撮影する検査が神経根造影です。神経根の様子、たとえばヘルニアで圧迫を受けていないか、脊柱管狭窄症や骨変形・骨棘で圧迫を受けていないか、あるいは腫瘍などの異常がないかどうかなどをチェックします。造影検査の際、普段感じる痛みが再現されれば、その神経根が障害を受けているとわかります。痛みの程度は軽いときも強い場合もあります。痛みのくる部位が重要です。時に痛みが来ないこともあります。
 造影検査の後、局所麻酔薬を注入し、痛みが(一時的であっても)軽減するかどうかをさらに確認します。これが選択的神経根ブロックSelectivenerve root block (SNRB)です。
 手術でヘルニアを摘出する場合などで、痛んでいる神経根が腰椎のどのレベルのものかが判別しにくいとき、神経根ブロックで障害を受けている神経根を判定することもあります。
 初回の神経根ブロックで症状がある程度軽減する場合、数回の神経根ブロックを行い、症状の軽減を狙う場合もあります(頻回に行うと、神経根障害が残りやすいため数回に留めます)。
 神経根ブロック時、局所麻酔薬に加えて副腎皮質ステロイド剤の注入を併用すると、神経根に起こっている炎症を退かせるのに効果的です。
 神経根ブロックで症状が軽くなっても、効果が長続きしない場合には、手術でその部位の圧迫を取り除くと、長期間痛みを取り除けるであろうと予測できます。

 このように神経根造影と神経根ブロックには
1:形態学的診断法(神経根造影)
2:機能的診断法(神経根ブロック)  (痛みが軽くなるか)
  という診断面だけでなく
3:治療手段としての適応 
  などの面があります。


●神経根造影・ブロックの実施法

検査法の1 例を示します。
 造影剤過敏症の既往がないか問診やチェックをします。過去1ケ月以内に脊髄腔造影が済んでいる時は省きます。

1. 実際の造影検査の手技は、X 線透視検査台というX 線による撮影と透視( 人体を透かして見れる) ができる検査台の上で行います。
2. 背中の皮膚を消毒し、局所麻酔を行います。皮膚に麻酔薬が入るとき多少痛みがあります。局所麻酔の後、神経根造影用の針( ブロック針といいます) を刺入します。
3. 針先の位置をX 線透視で確認しながら針先を神経根の近くへゆっくりと進めます。
4. 神経根に針先が接すると、刺激を受けるため、痛みをいろいろと感じることがあります。普段の足腰の痛みと同じ部位に痛みが出るかどうかが大事ですので、痛む場所に注意して下さい。
5. 同じ痛みを感じれば、針先がある神経根は普段障害を受けている神経根だと判定できます(痛みがあまりないこともあります。造影で異常があっても症状がない場合というのもあります)。
6. 神経根の近くに針先が進んだ所で、少量の造影剤を注入し、痛みの様子を見、撮影をします。
7. その後引き続いて局所麻酔薬( あるいは副腎皮質ステロイド剤を混ぜたもの) を注入します。

 局所麻酔薬の影響で運動神経も一時的に麻痺しますので、神経根ブロックのあとは1時間ほどベッド上での安静が必要になります。

 ブロック針の刺入部より上下(中枢側とか末梢側とか表現します)に向かって神経根が造影されます。圧迫があると、その部で途絶や欠損が見られます。椎間板ヘルニアなどでは、椎間板の部位で圧迫され、硬膜外腔まで造影剤が広がりません。

神経根造影  神経根造影 
 神経根造影の例  
 神経根に沿って造影剤が広がっている

神経根


 神経根ブロックを受けた人の感想がインターネット上にありましたので、場所U R L を以下に示します。
http://www.ichigo.sakura.ne.jp/.kenjos/dcforum/mansei/1027.html
 上記は、慢性腰痛相談- " 神経根ブロックを初めて受けます" というコーナーです。興味のある方は参考にして下さい


参考サイト:
赤松整形外科Q and A 神経根ブロック http://akm.jp/qa/pain/root.html
腰椎椎間板ヘルニア(本田整形外科クリニック) http://www.orth.or.jp/Hospital/kosi/herunia.html
腰椎神経根ブロック(本田整形外科クリニック) http://www.orth.or.jp/Hospital/kosi/jsrg.html
選択的神経根ブロック(SNRB) http://www.spinehealth.com/topics/conserv/overview/inj/inj03.html
参考教科書:
整形外科の検査、診断法 メジカルビュー社 山本吉藏 編集
標準整形外科学 医学書院 石井清一監修
                (編集:医局 野上俊光ほか)


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