はくざん 通信 第17号 第23号 2002.4.10 ホーム はくざん通信の目次に戻る
腰痛と神経ブロック 医局 野上俊光
トリガーポイント(痛みを誘発する部)注射
腰痛の部分症として、腰背筋の痙縮とこれに伴う腰背痛はほとんどすべての患者さんに認められます。このような腰背痛にはトリガーポイント注射がよく効きます。
硬膜外ブロック
トリガーポイント注射のみでは期待したほどの効果が認められない場合や、神経根に由来する症状(下肢も痛い)が認められる場合、激しい疼痛が広範囲に認められる場合などには硬膜外ブロックが良い適応となります。
「痛みの悪循環」を断ちきる:
神経ブロック療法は痛みを取るだけでなく、血管の収縮に関与している交感神経の緊張も解きほぐします。血管は拡がり血流は改善し、疼痛物質を運び去り、筋肉の収縮・緊張を取り去るため、痛みが起こりにくくなります。神経ブロックの効果が一時的なものではなく、局所麻酔薬の作用時間以上に長く続くのは、このような「痛みの悪循環」を断ちきるためだと言われています。
局所麻酔薬のみでなく、炎症を押さえるステロイドといわれる薬を併用すると、効果がより大きくなります。
[神経]ブロック[注射]の目的:
([しんけい]ブロック[ちゅうしゃ])は、局所麻酔薬で痛みの信号をブロック(止める)する治療方法です。「ブロック療法」、「ブロック注射」とも言われます。
治療効果を狙って行うだけでなく、障害を受けている箇所や程度を評価する目的でおこなうこともあります。
腰痛と神経ブロック療法:
「神経ブロック療法」にはいろいろな種類があります。
腰痛の場合、トリガーポイントブロック、硬膜外ブロック、神経根ブロック、椎間関節ブロックなどを行うことが多く、腰痛の種類によって使い分けます。
ギックリ腰のような急に起こった急性腰痛の場合、1〜2回の神経ブロックでなおるケースがみられます。
何年も前から痛んでいたような場合には、繰り返し注射を行う場合もでてきます。
症状がひどかったり、慢性化していて局所麻酔薬での効果が十分でないときには、 精密検査や手術を検討した方がよいかもしれません。
硬膜外[腔]ブロック[注射]:
(こうまくがい[くう]ブロック[ちゅうしゃ])
硬膜外腔に行う神経ブロック注射です。エピやエピドラと略することもあります。
腰痛に対しては、腰椎の棘突起の間から注射する「腰部硬膜外ブロック」と、お尻の仙骨裂孔から注射する「仙骨硬膜外ブロック」とがあります。
手技の安全性や自己負担の少ない料金面などを考慮し、成尾整形外科病院では「仙骨硬膜外ブロック」を主に行っています。
硬膜外ブロックとミエログラフィーの違い:
背骨の中には脊髄や馬尾(ばび)神経が通っています。この通り道は管状のトンネルになっていますので、脊柱管と呼ばれています.大事な脊髄や馬尾神経は、この頑丈な脊柱管のなかで、さらに硬い膜(硬膜)に包まれています。脊柱管と硬膜の間には柔らかい脂肪組織や粗な結合組織があり、神経を守るように包んでいます。
硬膜外ブロック注射はこの硬膜の外にある粗な結合組織の所に薬液を注入していきます。
ミエログラフィーでは硬膜の中(脳脊髄液)に造影剤を入れて写真を撮影しています。

硬膜外注射を受けられる方への注意事項
1)狭いところから注射をいたしますので、薬液 注入時に圧迫感がでることがあります。
2)注射当日は浴槽内に入らないで下さい。浴槽 に入ると、水圧がお尻に加わるので針穴から 雑菌が入ることがあります。
シャワー・かかり湯程度なら水圧が加わりませ んので、汗を流すのはかまいません。
3)注射を受けた日から1週間位は無理なこと
(重いものを持つ、腰痛を誘発する運動など)を 避けてください。痛みは体の防御反応でもあり ます。無理をすると逆に痛みがひどくなること があります。タバコは循環障害を起こしますし、 アルコールは浮腫を起こしやすいので数日は避 けて下さい。
4)薬液注入後は足の力が少し弱くなっています。 気をつけて歩いて下さい。もしもふらつく方は 安静時間を長く取ってお帰り下さい。自動車の 運転も反射時間が遅くなっていますので、お勧 めできません。
5)排尿、排便の感覚がおかしく感じることもあ りますが通常は半日から1日で元に戻ります。 それ以上続く時は、腰部脊柱管狭窄症の程度が ひどくて、膀胱・直腸障害がでている事が考え られます。早めに再受診して下さい。
6)注入後に不眠になる方もありますが、注入時 に使用した消炎鎮痛薬(ステロイド)の影響で すので心配いりません。数日で落ち着きます。
7)後日の診察は、痛みが取れない方は早めに、それ以外の方は内服薬が切れる頃に再受診して 下さい。
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