はくざん 通信 第14号 2001.8.3 ホーム はくざん通信の目次に戻る
腰は日常生活で、どの様に動いて、どのくらい負担がかかるのか
腰椎は、運動の方向は、三次元で、屈曲ー伸展、側方屈曲、回旋の3つの運動があります。実際の運動は、この3つの軸が組み合わさった、 複合運動です。たとえば単純なおじぎでも、腰にかかる負担は、体重の3倍程度、150Kgにもおよびます。500Kg近くかかることもあるようです。従って500Kg程度の力に耐えるだけの、構造が必要になります。
| 図1(右):脊柱は前・後屈、左右側屈および回旋が可能 最大前屈(実線)では椎間板の後縁は平坦になるが,最大後屈(点線)でのそれは脊柱管へ向って少しく膨隆する |
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| 図2(下):機能的脊柱単位は基本的に1個の椎間板と2個の椎間関節の3つ巴(ともえ)機構で成り立つ。 3つの関節で上下の脊椎が繋がっているので、三関節複合体とも呼ぶ。 |
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整形外科における検査の考え方
整形外科疾患では、レントゲン上で正常でも症状がある方、あるいはレントゲンで所見があっても症状のない方がいます
○単純レントゲン写真
質問:腰のレントゲンで正常といわれましたが、腰痛が強く薬を飲んでも直らないので、一度だけ行ってやめてしまいました。どうすればよいのでしょう。一生腰痛が続くのでしょうか?
回答:これは、よくおこる誤解です。たとえば、腰というのは前に説明したごとく骨と筋肉でできています。骨に異常がないから問題ないわけではありません。医師は「骨の形態」が正常であるといっているに過ぎません。腰痛の多くは、肥満や運動不足や、不良姿勢が原因で起こります。
レントゲンの異常所見と自覚症状に直接の関係は必ずしもありません。また逆に中年以上の方が、腰痛で受診されてレントゲン等を取れば(下肢のしびれなどがなければ)多くは「変形性脊椎症」という病名がつきます。同世代の方の腰のレントゲン写真をとれば、症状の有無に関係なく、大体同じような骨変化を示します。では同じような腰椎の変形のある方が、すべて腰が痛くなるのかといえば、そういうことはありません。確かに変形があれば正常の方よりは腰痛がきやすいとはいえますが、痛みは使いすぎや筋力不足などの日常生活のなかでの問題で起こることが多いわけです。従って、安静や薬物治療、その他腹筋を鍛えるなどの、いろんな努力をすることで、症状のない快適な生活をおくることができます。
レントゲンで変形があるから、かならず症状が出るとは限らないわけです。
○MRI検査
質問:腰のMRIという検査をしたら椎間板がでているといわれました。これはヘルニアでしょうか。だとすれば手術しなければいけないのでしょうか。
回答:
腰のMRI写真で椎間板が突出しているだけでは、特に問題はありません。これは症状のない方でもMRI等を検査すればよくある現象です。脊椎というのは単なる入れ物であり、大切なのはそのなかの神経なのです。神経が椎間板で圧迫されれば、下肢痛や痺れ(しびれ)などのいろんな症状が出ます。下肢痛が、薬物治療その他のいろんな治療で治らなければ、そこではじめて突出した椎間板の切除などの手術も考慮されます。下肢痛などの症状がなく、椎間板の突出のMRI所見だけでは、あまり病的意義はありません。したがって、椎間板の突出があっても、それが治らなくても、神経根が圧迫されなくて下肢の症状がなければ特に問題もないし治療の必要もありません。
まとめ
形態学的変化と機能的障害は必ずしも一致しません。骨の形態が正常でも、痛みがあるなら、きちんと治療すべきです。また薬物治療を4〜5日続けても痛みが軽快しないときは、多くは安静不足です。安静度を上げることです。また坐薬などの薬やバンド・コルセット等を処方してもらってください。
また逆にレントゲンで骨の形がおかしくても、症状がなければ治療は必要ありません。当然検査もそれ以上は必要ありません。
症状があるなら継続的に治療することはもちろんです。慢性の場合が多いので、すぐ治らない場合でも、継続的に通ってください。治療効果を見ながら、徐々に治療方法を変更します。
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重いものの持ち方。体に近づけて持つ。両手に分ける。重たいものを持つと意識する。リュックやショッピングカートを利用する。 | |
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○柱と壁を鍛える
A)柱(腰椎)を鍛える:
若年者なら、腰椎分離症があれば、腰椎バンドをつけます。高齢者なら、骨粗鬆症があれば、骨を強くする薬を飲みます。 運動でも骨は強くなります。
B)壁(腹筋と背筋)を鍛える
これは筋肉を鍛えるわけです。水泳や腰痛体操を行なって、ください。
奇跡的な治療は存在しません。地道に行うほかないのです。

その他の治療(補助療法)
薬を飲む、マッサージを行う。電気をかける、腰の牽引をする。これらは、いずれも一定の効果があります。しかし根本的になおそうと思ったら、やはり原則通りに、正しい腰痛の知識を身につけ、運動をきちんとこなさくてはいけません。
治療は根治的治療と対症療法に分けられます。腰痛のような慢性疾患の根治的治療はこれ以外にはありません。その他の治療はすべて対処療法といいます。念のためですが、だから対症療法は必要ないといっているのではなくて根治療法と対処療法は車の両輪です。どちらが欠けても快適な生活は送れません。どうか賢い、治療を続けてください。
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