はくざん 通信 第13号 2001.8.3 ホーム はくざん通信の目次に戻る
腰痛を訴える人が多いのは、ヒトの体の構造が腰痛を起こしやすいためといえます。4足歩行のサルから、直立2足歩行へと進化した人間は、体重を2点で支えなくてはならず、上体の重みがすべて腰にかかります(図1)。しかも、体を垂直に保つため、腰まわりの筋肉が絶えず緊張しているので、筋肉が疲労して腰に痛みが生じやすいのです(図2)。つまり、腰痛は人類にとって避けがたい、いわば宿命的な病気だといえるでしょう。
図1 サルと人間の姿勢 図2 腰と筋肉 腹筋や背筋で、脊椎を引っ張り、まっすぐな姿勢を保っている。
腰は、筋肉(腹筋と背筋)と、骨(腰椎)でできています。家にたとえれば、腰椎が柱で、腹筋・背筋が壁です。それで屋根(上半身)をささえているわけです。壁か柱にガタが来れば、屋根を支えきれなくなり、腰痛がおきます。なお下肢の痛みや痺(しび)れは腰で脊髄の神経根が圧迫された証拠です。その場合は腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)と言う病名になります。
腰への負担のかかる仕事をしている方、体型の崩れた方は、一旦腰痛になれば、なかなか治らない(再発を繰り返す)のも、このためです。
私たちの体を支える背骨は、「脊椎骨」という24個の小さな骨が積み重なってできています。脊椎骨と脊椎骨の間には、椎間板という軟骨があり、クッションの役割をしています。脊椎骨のうち、腰の部分にある5つの骨を「腰椎」といいます。この腰椎と椎間板が、上半身の体重を支えています。
また、背骨の役割を補う形で、腰の周辺には背筋や腹筋が発達しています。背筋と腹筋は、腰を支える自前の「コルセット」として大事な働きをしています。

A腰部のストレッチング B腹筋のトレーニング C背筋のトレーニング
腰痛の原因 (代表的なもの)
1.骨の老化や変性
背骨は、「脊椎骨」と呼ばれる24個の骨(頚部7、胸部12、腰部5)がブロック状に積み重なってできています。脊椎骨と脊椎骨の間には、水分をたっぷり含んだ「椎間板」という軟骨があり、背骨をスムーズに動かしたり、衝撃を和らげるクッション役を果たしています。
ところが、年をとるにつれて、骨粗鬆症が起こったり、長年かけてきた負担がもとで、骨が変性し、腰痛を引き起こすことがあります。「変形性脊椎症」は、骨が異常に増殖して、脊椎骨に棘(とげ)のような出っ張りができ、これが神経を圧迫して腰に痛みをもたらす病気です。また、加齢とともに、椎間板の弾力性が失われる「椎間板症」が進行して、椎間板がつぶれてくると、「変形性関節症」、「椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄症」などの病気にもつながり、腰に激しい痛みをもたらします。
2.外傷
腰痛を引き起こす外傷には、「骨折、捻挫、脱臼」などが挙げられます。なかでも多いのが捻挫で、一般に「ぎっくり腰」と呼ばれている「急性腰痛症」が代表的です。
3.内臓の病気
「尿路結石、膵臓(すいぞう)炎や胃腸炎、直腸ポリープ、悪性腫瘍の転移」など、内臓に異常があると、それが原因で腰に痛みが生じる場合もあります。
4.ストレス
最近、精神的ストレスによって、心身が不安定になり、腰痛を訴える人も増えてきています。この場合は、痛みの治療とともに、心のケアも必要になってきます。 特に若年者の慢性の腰痛に多い原因の一つです。
図3 診察を受けるタイミング
・しばらく様子を見てもよい場合
ゴルフで腰をひねるなど、原因がわかっている場合は、しばらく様子を見てもかまいません。腰をひねった直後は、錐(きり)で刺されたような激しい痛みが起こりますが、5〜10分ほど安静にしていると次第に治まります。しかし、入浴したり、お酒を飲んだりすると、その翌朝はひどい痛みで起きられなくなります。これが、典型的な腰痛で、このような場合は2〜3日様子を見て、その間に痛みの程度が軽くなったり、少しずつ動けるようになるなら、それほど心配はないでしょう。
・早急に受診する場合
腰以外の場所、なかでも左右どちらかの下肢にも痛みがある場合は、「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」などが疑われます。また、呼吸や心臓の拍動に伴って、腰がズキンズキンと痛む場合や、睡眠時や安静時に痛みが起こる場合は、呼吸器や内臓などの病気が考えられます。いずれの場合も、早めに専門医を受診してください。
急性の腰痛
質問:「腰が痛くて動けません。どうすればよいでしょう」
回答:「4〜5日痛みがとれるまで、ひたすら安静にすることです」
通院に便利な近くの整形外科を直ぐ受診することです。下肢の痛みや痺(しび)れがないなら、あまり心配なさる必要はありません。痛みが比較的楽なら薬物治療と外固定(腰椎バンド)で対処します。もっとひどい場合、あるいはこれで治らないなら、安静度を上げる必要があります。
動けないような腰の激痛は、4〜5日の安静臥床で必ずとれます。中途半端な安静ではなかなかとれません。洋風の生活の方が楽でしょう(ベット、洋式トイレ)。堅いベットに、仰向けなら、膝下に枕を入れて寝る。横なら膝を曲げて寝ればよいでしょう。下肢痛は、腰で神経が圧迫されている(椎間板ヘルニアなどで)証拠です。これをとるには2〜3週以上の安静が必要です。あまり痛いときは、痛み止めの坐薬を使ってください。1日2回まで使っても構いません。
図4 腰痛を訴える人の年齢層 若い年代も含め、どの年齢層にも腰痛で悩む人がいる。
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