はくざん 通信 第9号 2001.6.22 ホーム はくざん通信の目次に戻る
「腐敗した食品を食べなければ、食中毒にはならない」と考えている人も多いようです。しかし、食品が腐敗するのは、腐敗菌により食品中のたんぱく質が変性するためで、食中毒菌の働きによるものではありません。食中毒菌が増殖していても、食品の味、におい、色などには変化がないため、食品が食中毒菌に汚染されているかどうかを外見から判断することはできません。
食中毒予防の原則は、「食中毒菌はあらゆるものに付着している」ことを前提にして食品や調理器具などを扱い、
(1)食中毒菌を付けない、
(2)食中毒菌を増やさない、
(3)殺菌する、
の3つを守ることが大切です。

手を介して食中毒菌が広がるのを防ぐため、調理前後、1つの調理作業の前後、食事前などには、石けんを使って手の隅々までていねいに洗います。特に、生肉、魚、卵を扱った後は、必ず手洗いをしましょう。また、食品を購入するときは、新鮮なものを選び、肉や魚介類などは買い物の最後に購入し、帰宅後、すぐに冷蔵庫に保存します。
食材や調理器具はよく洗い、食中毒菌や汚れをしっかり落とします。まな板は、肉・魚介類用と野菜用など、素材別に分けて使いましょう。
まな板の表面に深い傷が付くと、その傷に菌が繁殖するので、取り替えるか、木製のものなら削りましょう。食品を加熱するときは、十分に加熱し、中心まで火を通します。75
℃以上で1分間加熱すると、多くの食中毒菌を死滅させることができます。
食品を冷蔵庫に入れるときは、ラップフィルムや保存袋に入れ、ほかの食品に触れないようにします。冷蔵庫の扉の開閉が多いと庫内の温度が上がり、食中毒菌が増殖しやすくなります。また、エアコンが効いている室内でも、室温で食品を放置しないようにします。残ったものは、思い切りよく捨てることも必要です。
調理の際、使用した包丁、まな板、ざる、ボウル、はしなどには、食材からうつった食中毒菌が付いているので、洗剤と流水でしっかり洗い流します。流しにも、食中毒菌が付いているので、しっかり洗い流し、食中毒菌を残さないようにします。
食中毒が疑われる場合は、自己判断はせず、早めに医療機関を受診します。下痢は、体内の食中毒菌や毒素を排泄する働きもあるので、自己判断で下痢止めの薬などを飲まないようにしましょう。
夏は、食中毒の起きやすい季節です。
小さな子どもやお年寄りのいる家庭では、食中毒を起こさないように、特に注意が必要です。また、暑さのために、抵抗力が落ちていると、だれでも食中毒を起こしやすくなりますので、生活全般にも気をつけましょう。
食中毒の発生は8月がピーク。しかも、食中毒の3分の1は家庭で起こっていると推定されています。食中毒は、時には生命にかかわることもあるので、正しい認識をもち、しっかり予防対策を実行することが大切です。
食中毒の原因の約9割は「細菌」によるもので、その発症の仕組みは、次の3つに大きく分類されます。
食品に付着した食中毒菌が、食品内に毒素を産生し、その食品を食べることで、食中毒の症状が起こります。「黄色ブドウ球菌」がこのタイプで、汚染された食品を食べてから3時間以内に、「嘔吐、下痢、腹痛」などが起こります。毒素が体外に排出されると症状は治まるので、多くはすぐに回復します。
黄色ブドウ球菌は、人の鼻腔やのど、傷口などにいる菌で、人の手を介して食品に付着します。
食品を加熱すると菌は死滅しますが、既に出された毒素は加熱しても消えません(昨年の雪印乳業の食中毒はこのタイプです)。

食中毒菌に汚染された食品を食べることにより、体内に入った食中毒菌が腸内で増殖し、産生した毒素によって、食中毒の症状が起こります。
魚介類が感染源になる「腸炎ビブリオ」、「病原性大腸菌」、野菜や肉から感染する「ウェルシュ菌」などが主な食中毒菌です。
ウェルシュ菌は、加熱しても死滅しないことがあるので、つくり置きしたカレーやシチューから感染することもあります。
多くは、「嘔吐、下痢、腹痛、発熱」などの症状が、24時間以内に起こります。しかし、病原性大腸菌の一種であるO157 のように、4〜8日後に症状が起こる場合もあります。

食中毒菌に汚染された食品を食べることにより、体内に入った食中毒菌が腸管の粘膜に入り込み、食中毒の症状が起こります。
食肉や鶏卵が感染源となる「サルモネラ」、主に鶏肉から感染する「カンピロバクター」が主な食中毒菌です。2〜3日間の潜伏期間ののち、「発熱、腹痛、粘血便」などの症状が起こります。最近は、特に鶏卵からサルモネラに感染するケースが多発しています。サルモネラは、加熱によって死滅するので、卵はしっかり加熱してから食べると安心です。

参考資料:NHKの健康サイトほか
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