はくざん 通信 第8号 2001.6.20 ホーム はくざん通信の目次に戻る
小柳 英一 
尿酸値を上昇させる要因を列挙してみます
1)遺伝的な要因
病気は遺伝的素因に環境からの影響が加わって発病します。痛風の場合にも遺伝的体質が関連します。痛風の患者さんには約20
%ぐらいに父親や叔父さん従兄弟に“痛風もち”がいます。
2)食生活の問題
食事内容によっては尿酸値は上がりますが、厳密なプリン体制限は実際には困難で、長続きしません。最近では「これは食べてはいけない」という食品の制限はあまり指導しなくなりました。それよりも食べる総量を制限することが大切です。
痛風の患者さんの60 %には、肥満があり、肥満度が大きいほど尿酸値は高くなります。また肥満は痛風の人に多い合併症の大敵です。食事を減らし、よく歩き、標準体重を守ることが大切です。
痛風友の会の調査によると、食べる速度が速い、一回の食事量が多いと自覚している人の割合は、痛風の患者さんでは、ずっと多いことがわかりました。よく噛んで味わって食べるように注意しましょう。
3)飲酒の問題
アルコール飲料を飲むと尿酸値は一時的に上がります。アルコールが体内で分解される時に尿酸が作られること、その際にできる乳酸が体内に尿酸を蓄積すること、一部のアルコール飲料には尿酸の元になるプリン体が多く含まれていることなどがその主な原因です。
アルコールが代謝されるときに尿酸値が上がるので、どんな種類のお酒でも尿酸値や痛風にはよくないわけですが、尿酸の素になるプリン体を含む量は種類によってかなり違います。
プリン体は、ビールに最も多く含まれ、ウイスキー、ブランデー、焼酎などの蒸留酒にはあまり含まれていません。

図。尿酸の大部分(6/7)は体内で作られる。食べ物からもプリン体(1/7)が入ってくると両方が重なって高尿酸血症は加速する。プリン体は肝臓で分解、合成され、尿酸になっていく。
4)ストレスや、行動パターン
ストレスは尿酸値を上昇させるようです。運動もやり方次第では尿酸値を上げ、特に激しい運動は尿酸値を一時的に上昇させます。発汗や下痢で脱水状態になったときも血清尿酸値は上昇します。
5)他の病気の影響
腎機能が低下したり、血液の病気があったりすると尿酸値が上がることがあります。悪性腫瘍が原因で高尿酸血症になることもありますので注意が必要です。
6)薬剤の影響
薬剤の中には、尿酸値を上昇させるものがあります。
サイアザイド系降圧利尿薬(フルイトランなど)。 ループ利尿薬(ラシックスなど)、 喘息の治療薬のテオフィリン(テオドールなど)、 結核治療薬のピラジナマイド(ピラジナミドなど)、 少量のアスピリン(バファリンなど)。その他、薬剤ではありませんが健康食品といわれるものの中に、核酸成分を大量に含むものがあり、毎日食べ続けて尿酸値が高くなることもあります。
尿酸値を下げるためには次のような点で日常生活の注意をしてください。
1)肥満を解消すること。
総カロリーを制限する、偏食を避け、多品目を少量づつ、ゆっくり噛んで、食べることが大切です。
減量はゆっくりと行います
2)アルコール飲料を控えること。
アルコールはカロリーも高く尿酸を増加させます。一気のみしない、たくさん飲まない、休肝日を設ける、ビールばかりにしないことを気を付けましょう。
3)積極的に水分を摂取すること。
尿酸は腎臓から排泄されるので、利尿により排泄量がふえます。水分を十分とるようにしましょう。
季節を問わず尿が一日2リットル以上になるようにすることが理想ですが、少なくとも毎日2リットル以上の水分をとること。
アルコールは尿酸値を上げる方向に働きます
4)軽い運動を行うこと。
ウォーキングなどの有酸素運動は尿酸値を上げず、痛風の人に多い高血圧などの合併症にも有効です(逆に短距離、激しい筋力トレーニング等の激しい運動では、無酸素運動となり尿酸を上昇させますので逆効果です)。
5)精神的ストレスをうまく緩和すること。
のんびりゆっくり型のストレス対策が必要です。
* 痛風の治療は
発作時と痛みがおさまった後の高尿酸血症に対する治療とがあります。
発作時には炎症、疼痛をおさえるための非ステロイド性抗炎症剤を使用します。重度の時はステロイドホルモンを使うこともあります。
発作がおさまったら、発作を予防する事と高尿酸血症によって起こる合併症を防ぐ事が目的となります。尿酸排泄剤、尿酸生成阻害剤が使われます。
痛風は痛みがないからといって病気が治ったわけではありません。 長期間継続的に治療することを忘れてはいけません。