はくざん 通信   第7号 2001.6.19   ホーム  はくざん通信の目次に戻る 


   痛風について-1
* 痛風とは
* 尿酸、高尿酸血症とは
* 高尿酸血症、痛風の原因は
* 痛風の現状は


痛風を知ろう 1   小柳 英一

 強い痛みだけが痛風と誤解されています。 痛みは1 週間位でひくため一時的な病気と軽く見られがちです。しかし痛風には生活習慣病としての顔があります。
 痛風は美食、肉食、飲酒の好きな人に多いところから、昔は王侯・貴族の病気といわれてきました。現在の日本では50 万人位の患者がいて、増加傾向にあります。アルコールの習慣、肉類などプリン体の多い食品のとりすぎ、高血圧患者に対する降圧利尿剤の使用頻度の増加などが最近の特色です。40 歳から50 歳代の活動的で肥満型の成人男性に多く、発症年齢は低下してきています。女性は男性の5% 以下で、閉経後の発症が主です。

 痛風になりやすいタイプは、行動的、大食い、酒飲みというように“エネルギーの出し入れの大きい人”です。社会的に活躍している人に多い病気でもありますが、高血圧、動脈硬化をはじめ、様々な成人病の誘因となることからも早期治療が大切です。 痛みがなくなったからと治療しないでいると慢性化して一生苦しむ事になります。 正しい知識を身につけましょう。

予防する食事


* 痛風とは

 組織に尿酸塩結晶が沈着し局所の疼痛をはじめ、放置すると全身の合併症を起こす疾患です。前駆状態として高尿酸血症が存在しています。

 急性期の痛風患者さんの足は、足の親指の付け根あたりに強い炎症が起こるのが特徴です。「痛」の文字で始まる病名はこの痛風しかないくらい痛みが強く、風があたっても痛いということから「痛風」という名前がつけられました。

 急性期はまったく歩けず、足も床につけられなくなってしまいます。このような症状がだいたい1 週間から2 週間続いて、ピタッと終わってしまいます。痛みがおさまるとピンピンして、普通の状態に戻ります。それを繰り返すのが痛風の特徴です。

 下の図は関節内へ尿酸塩の結晶が析出しているところです。慢性化すると痛風結
節を生じ、関節の変形、運動制限もおこります。

 高尿酸血症の状態が長く(普通5 年以上) 続くと痛風発作に加え、尿路に尿酸結石を生じ腎臓障害になります。糖尿病、高脂血症、高血圧症などを合併して心筋梗塞、脳血管障害などを起こし易くなります(右図)
                       高尿酸血症

* 尿酸、高尿酸血症とは
 尿酸は生命維持に必要なプリン体が肝臓で分解されて出来る物質です。体内には必要ないので尿中に排泄されます。プリン体は洋菓子のプリンではありません。プリン体は、遺伝子の構成成分、ATP(アデノシン三リン酸) という生体エネルギー物質なんですね。肉や珍味、ビールなどに多く含まれています。尿酸が多く作られたり排泄される量が少ないと血液中の尿酸がふえます。

 血液中の尿酸濃度の高い状態が高尿酸血症です。尿酸値が7mg/dl 以上を高尿酸血症といいます。

高尿酸血症 生活習慣病

* 高尿酸血症、痛風の原因は?
 痛風は、飽食の時代の病気です。体質的素因に肥満、過食、過飲、運動不足、過激な運動、ストレス等の環境因子が加わって起こりますが(一次性痛風)、他の病気(血液疾患、腫瘍等) や薬剤( 利尿剤) が原因( 二次性痛風) でも起こります。

* 痛風の現状は?
 痛風の患者さんは年々増えています。全国で50万人、高尿酸血症は600 万人と推定されています。男性が90% 以上をしめます。女性ホルモンの作用により女性では尿酸が体内に溜まりにくいためです。発症の平均年齢は男性が40 〜 50 歳、女性は55 歳で閉経期以降にみられます。近年食生活、車社会にみられる生活様式の変化により若年化の傾向がみられています。

痛風までの流れ
図. 痛風になるまでの流れ。遺伝的な要因と環境的要因の2つが重なると血液中の尿酸が増え、高尿酸血症となる。最終的にはその約1 割の人が痛風になる


痛風と似た病気: 足の病気で痛風と間違えやすいものを御紹介します。

1)外反母趾・・・これは足の親ゆびの付け根の関節から先の骨が外側に曲がっている状態で、親ゆびの付け根が内側に突出します。

2)変形性骨関節炎・・・加齢に伴う骨、軟骨の変性です。歩き始めなどに痛みが出ますがひどく腫れることはありません。

3)蜂窩織炎(ほうかしきえん)・・・皮下に細菌が感染して、皮膚が腫れ上がる病気です。「水虫」なども原因になります。

4)変形性脊椎症による足の痛みやしびれ・・・
 足の痛みや症状があり、痛風を疑って受診する患者さんに意外に多いのが、腰椎の変形に伴う足の症状です。

5)偽痛風・・・ピロリン酸カルシウムという結晶が関節炎を起こす病気です。高齢者の膝関節や足首の関節に多くみられますが、男性も女性も同様に起こります。レントゲン写真をとると関節の中に石灰化が見られます。

6)慢性関節リウマチ・・・たくさんの関節が慢性的に痛み、しだいに関節が変形して日常生活が不自由になるつらい病気です。女性に多く、痛風とは対照的です。

7)回帰性リウマチ・・・関節が急に腫れて痛む原因不明の病気です。痛風より症状は軽く、2、3日で治りますが、繰り返します。関節の変形はおこさず、血清尿酸値も正常です。

 痛風と誤りやすい病気はたくさんありますので、自己判断せずにきちんと診察を受けましょう。


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